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( ^ω^)ブーンはおっさんのようです。

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:35:09.31 ID:GCTbWEj70
まとめ
ttp://amiho21.blog52.fc2.com/blog-entry-21.html

ログ
ttp://up.spawn.jp/file/up26966.html

MAP
ttp://xxxxx.dyndns.tv/~nadesiko/up/img/upupup4180.jpg

2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:36:05.54 ID:GCTbWEj70
あらすじ

楽団はどっかにいった。
ブーンは駅で見送った。
ちょっと涙が出た。

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:36:21.27 ID:GCTbWEj70
 6

(o´c_`o)「ああ、汽車が言ってしまった」

トロン楽団を見送って駅を出ると、男が壁に手をついて呼吸を整えているのが見えた。

(o´c_`o)「はぁ、彼らなら旅のついでに何か見つけてくれると思ったのに……ん?」

男がなにか面白いものを見つけたかのように、僕の方をチラチラ見ながら近寄ってきた。

(o´c_`o)「もしかして君は……そうだ!昨日盗賊団を追い払ってくれた人だね。
いいところで会いました、ちょっと話を聞いてくださいよ。
私はそこの博物館で学芸員をしているんですが、昨日の襲撃で博物館が壊されてしまいまして、
いや、それだけならいいんですが、展示物が!
博物館にとって何より大事な展示物が、壊されたり持ち出されてしまったんです。
お願いです。何かのついでで結構ですから、展示できそうなものを持ってきてくれませんか?」

男は一気にまくし立てると、深呼吸を繰り返した。
どうも、ちょっとおかしい男のようだ。
なにより僕には用事がある。
ピジョット牧場の荒巻博士に会って診断を受けないとならない。
面倒なことに巻き込まれる前に、きっぱりと断っておいた方が良いだろう。

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:36:42.27 ID:GCTbWEj70
( ^ω^)「めんどくさそうなんでイヤですお」

(o´c_`o)「ああ、そこをなんとか…」

僕の体にしがみつくようにして、男が情けない声を上げる。

「おーい、ジョン君、楽団のみんなには会えたのかねー」

僕が顔を上げると、小太りで鼻の下にひげを生やした男が走ってきた。

(o´c_`o)「ああ!館長!いえ、それは間に合わなかったんですが、
でも、この人が展示物を集めてくれるそうですよ!」

(;^ω^)「はい?」

「おおお!あなたは昨日盗賊団を追い払ってくれた方ですね。これは心強い!
展示物を持ってきてくだされば、我々が買い取ります。
もちろん貴重なものほど高く買い取りますよ。とりあえず、これを渡しておきましょう」

そう言って、強引に小さな冊子を押し付けてきた。

(;^ω^)「化石発掘許可書?」

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:37:02.54 ID:GCTbWEj70
「そうです。ゴーレム渓谷には様々な化石が眠っています。
今までは許可証などなくても良かったのですが、どうもマナーの悪い連中が増えてきた。
このままでは重要な化石が破壊されてしまうかもしれない。
そのために作られたのが、この化石発掘許可書です。
これを持っていれば警官に咎められることなく、思う存分に化石を掘ることが出来ます。
では、よろしくお願いしますね。ようし、それでは建物の修理に取りかかろう」

二人は満足げな顔をして歩いていってしまった。

(;^ω^)「変な人たちだったお……。でも頼まれたんだから仕方がないおね。
お金にもなりそうだし、用事を済ませた後にでもやってみるお」

僕は昨日の戦闘によってボロボロになったピートの修理をするため、ワロスモータースに向かった。

「いらっしゃい、おっと、昨日の英雄の登場だ」

( ^ω^)「英雄?」

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:38:31.04 ID:GCTbWEj70
「そうさ、君はトロン楽団と一緒に盗賊団を追い出してくれたんだ。
君たちのおかげで今日を迎えられたと言っても過言じゃないよ。
それで、用件は機体の修理が目的かな?」

この整備士やさっきの学芸員に、自分が元ホームレスだと言ったらどういう反応をしただろうか。
嫌悪感をあらわにしただろうか、それとも、逆に立派になったと肩を叩いてくれただろうか。
僕は口から出かけた言葉を呑み込んで、

( ^ω^)「そうですお。それと、化石を発掘するための装備も欲しいんですお」

と言った。整備士の目が輝く。

「それならお安い御用ですよ。昨日のお礼に、すべて無料でやらせていただきます」

(;^ω^)「いやそれは……」

僕はジョルジュから、すでに仕事の報酬をもらっている。
パーツを買う程度なら困らない程度の持ち合わせはある。。

「いえいえ、遠慮はいりません。さ、整備しますから、降りていただいてよろしいですか」

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:39:28.24 ID:GCTbWEj70
僕は引きずりおろされる様にピートから降りた。
そしてそのまま整備士に腕を引っ張られて、紅茶とクッキーの用意されているテーブルに案内された。

「しばらくここでお待ちください。整備が終わりましたらお呼びしますから」

そう言って、急ぎ足でピートまで戻っていった。
僕はまったりと紅茶を飲みながら、街を眺めた。
昨日の騒ぎが嘘のように活気付く人々。
当てもなく商店街を練り歩く主婦や、急ぎ足のサラリーマンまで、
今までとなんら変わりのない生活を営んでいる。

( ^ω^)「(結局人間なんて自分のことしか考えていないんだお)」

井戸の前にたむろして、文字通り井戸端会議をはじめる主婦たちから視線をはずし、
僕は染みの浮いた天井を眺めながらため息をついた。

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:40:08.06 ID:GCTbWEj70
すると、なにかが床に落ちて転がった。
駅でツンに渡されたハーモニカだ。
ポケットを探り、楽譜を取り出す。
そこには手書きで、簡単な説明が書いてあった。

( ^ω^)「ツンがわざわざ書いてくれたのかお?」

インクはまだ新しいようだ。やはりツンが書いてくれたのだろう。
僕は椅子から立ち上がった。
練習してみよう。はじめてだから上手くいくはずないが、
ツンと再会したときに一緒に演奏できるように。
ハーモニカを口に当て、息を吹き込む。
気の抜けたような奇妙な音が聞こえた。

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:40:24.59 ID:GCTbWEj70
それから整備士が呼びに来るまで、
僕はずっとハーモニカを吹いては楽譜を読む作業に没頭していた。

「あの、整備が終わりましたが……」

声に気づいて、顔を上げると、整備士が申し訳なさそうな顔で立っている。

(;^ω^)「あうあう、ありがとだお。早速見させてもらうお」

恥ずかしさを誤魔化すために、わざと大きな声でそう言い、僕は整備士についてピートまで戻った。

「どうです、見事なものでしょう」

目の前には、新品のようにキラキラと光るピートが立っていた。

( ^ω^)「……すごいお」

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:40:45.91 ID:GCTbWEj70
目の前には、雪のように白く輝くボディのピートが堂々と立っていた。
両手のアームは今までより長い刃がつけられている。

「ソードアームです。カッターアームより切れ味も強度も良いですよ」

さらにバックパーツのキャリアーが大きくなっている。

「今までのは普通の荷物を運ぶためのキャリアーSでしたが、今回は化石を発掘する
ということで、発掘した化石を運ぶためにキャリアーWに改造しました」

(*^ω^)「すごいお、これが僕のピートかお」

「喜んでいただけて嬉しいのですが、これはまだあなたのピートではありませんね」

( ^ω^)「お?」

顔を伏せながら、整備士が続けた。

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:41:03.47 ID:GCTbWEj70
「プレートがついてますよね、このプレートにはメルモ運搬株式会社と書かれています。
つまり、このピートはメルモさんの所有になっているんです」

( ^ω^)「そうかお、じゃ返さないとならないんだおね」

整備士が顔の前で大きく手を振った。

「いやいや、なんでしたら、僕が話をつけてもいいです。相当古い型ですし、安く手に入れられると思いますよ」

( ^ω^)「でも仕事が……」

「気にしないでください。さ、行きましょう」

そう言うが早いか、整備士が勝手にピートの助手席に乗り込んでしまった。
僕は首を振りながら、仕方なく運転席に座った。

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:41:37.02 ID:GCTbWEj70
メルモの事務所。

(´゚A゚`)「やあ、ブーン君、君の活躍は聞いているよ。
仕事も無事に終わらせてくれたようだね。
昨日のうちにドクオ君とコッチ君から報告を受けたよ。
それで、今日は何の用かな?給料なら払ったはずだが……」

( ^ω^)「給料はもらいましたお、それとは別にお話しが」

「実はブーンさんの乗っていたピートを譲っていただけないかと思いましてね」

(´゚A゚`)「は?譲る?私がブーン君にですか?」

「そうです。彼はこの街を救ってくれた英雄ですよ。たかだかピートの一台や二台、どうってことないでしょう?」

僕は頭に手を当てて天井をにらみつけた。
整備士は嬉々として喋り続けているが、相手は商売人だ。
自分の所有物をそう簡単に手放すはずがないじゃないか。

(´゚A゚`)「なるほど、実は私もそう考えていました」

( ^ω^)「お?」

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:42:08.44 ID:GCTbWEj70
メルモが僕の方に体を向けた。

(´゚A゚`)「実は盗賊騒ぎなどで、運び屋が逃げてしまいましてね、
このままでは私の会社も潰れてしまうのです。そこで、君たちに仕事を任せたいと思ってね」

僕は怪訝そうな顔を返した。

(´゚A゚`)「ああ、えっとですね、とにかく人員不足なんですよ。
ですから、このまま君たちに貸したピートに乗って、世界各地にある事務所から
依頼された場所に荷物を運んでいただきたいんですよ」

「それはつまり、ピートは彼らのものということでよろしいんですよね?」

メルモが整備士に向かって頷く。

(´゚A゚`)「仕事をするためにはピートが必要ですから。
その代わり、出来るだけ事務所に顔を出すようにしてください」

「よかったですね、ブーンさん!」

( ^ω^)「おっおっ、ありがとうだお」

(´゚A゚`)「いやいや、感謝をするのはこちらですよ。最近の若者は度胸がなくて困る。
その点、昨日のような有事に、自ら飛び込んでいけるような人に
仕事を頼めるんですから……どうぞピートを使ってやってください」

僕と整備士は何度も頭を下げながら事務所を出た。

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:42:46.71 ID:GCTbWEj70
「いやあ、上手くいきましたねえ」

( ^ω^)「最初は無理かと思ったお。ありがとうだお」

「いえいえ、お力になれてよかったです。それじゃ、私は仕事がありますから」

整備士に手を振って、僕はピートに乗り込んだ。

( ^ω^)「そうだ、せっかくだから名前をつけるお!
んーと、えーっと……マローユキなんてカコイイお!これにするお!」

僕は小躍りしながらピジョット牧場側の門をくぐった。

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:43:20.66 ID:GCTbWEj70
ゴーレム渓谷。

荒れ果てた、どこか寂れた感じのする場所。
ゆっくりと周りを眺めながら進んでいく。
ホームレスにあるのは小さな街の、さらに小さな世界だけだった。
だがホームレスを卒業してからというもの、
雄大なクロサケ河や、青々と生い茂る森、寂れた海岸など、
様々な景色を眺めることが出来た。

( ^ω^)「世界は広いお」

目に入る全ての物が小さな感動を伴って目に入ってくる。
僕がホームレスになる前に見ていた景色は、どんな風に僕の目に映っていたのだろう。

( ^ω^)「……よく思い出せないお」

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:43:55.23 ID:GCTbWEj70
そのまま進んでいくと、目の前を巨大な芋虫のようなピートが横切った。
あわててピートをバックさせると、芋虫は僕に気づかなかったかのように
そのまま地面を這っていった。
丸い円形がいくつも繋がった機体、
その機体の端々に高速回転している棘がついている。
これが館長の言っていた、マナーの悪い連中だろうか。
確かにあんな棘で化石を掘られては、とんでもないことになるだろう。
僕は辺りを見回した。そんな芋虫型のピートが何機も渓谷を走り回っている。
中には崖を掘り進みながら、時々顔を出す芋虫ピートもいた。

( ^ω^)「ホームレスよりも性質が悪いじゃないかお」

こういう者の方が、ホームレスより何倍も人に迷惑をかけている。
それなのに、邪魔者扱いされるのは、いつもホームレスのほうだ。

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:44:38.93 ID:GCTbWEj70
しばらく線路沿いに歩いていくと、おじさんの怒号が聞こえた。

「ふざけやがって!くそ!」

僕はおじさんに近づいた。おじさんのピートから黒い煙が噴き出している。

「まったく、困ったなぁ」

( ^ω^)「どうかしたかお?」

おじさんが振り向いた。

「君も化石ハンターかい?」

( ^ω^)「そういうことになるお。ワロスガーデンの博物館から依頼されて、
時々化石を掘ってみることにしたんだお」

「そうか、もちろん許可書はもらったよな?
さっきの芋虫ヤロウみたいに、許可書も持っていない、
マナーのなっていないピート乗りが増えて困っているんだよ」

おじさんがため息をついて、目の前の崖を指差した。

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:45:09.68 ID:GCTbWEj70
「芋虫が急に飛び出してきてね。危うく私の発掘の邪魔をされるところだったよ」

おじさんが、ここを見てごらん?と手招きした。

「どうもこの辺りに、大物の化石が眠っている気がしてならないんだよ。
しかし肝心の地層が見当たらんのだ。私もヤキがまわったのかもしれん」

( ^ω^)「それより、おじさんの機体から煙が出てるお?」

おじさんは驚いたように後ろを振り返り、また芋虫め!と叫んだ。

( ^ω^)「肩を貸すお」

「すまないね」

おじさんがピートの腕をこちらに伸ばしてくる。
僕はその手を掴んで、自分のピートの肩に回した。

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:46:00.29 ID:GCTbWEj70
( ^ω^)「あのー、この人のピートを修理してくれお」

街の外には簡単な整備をするための出張整備所がある。

「こりゃひどくやられてるな」

「例の芋虫が急に飛び出してきやがってな」

「なるほど、だがエンジンはいかれちゃいないようだ。すぐ終わる」

整備士とおじさんの話を聞きながら、首を回した。
すぐ後ろを芋虫ピートが這っている。
そばの線路に止まっているトロッコに腰掛けながら話している男たちの声が聞こえてきた。

「全く弱ったもんだ。資材が運べないと仕事にならないよ」

( ^ω^)「どうかしたのかお?」

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:46:51.65 ID:GCTbWEj70
男たちが僕の方に振り向いた。

「やあ、君も化石ハンターかい?無免許のならず者化石ハンターたちが、
線路を占拠していてトロッコが通れないんだよ。
正式な資格を持ったプロの化石ハンターたちも、やつらのせいで困ってるみたいだよ」

( ^ω^)「なるほど、それは大変だお」

「はいよ、修理は完了だ」

後ろから整備士の声が聞こえた。

「おお、ありがとう」

おじさんが整備士に金を払い、ところで君の名前は?」と僕の方に振り向きながら言った。

( ^ω^)「ブーンだお」

「そうか、いや世話になったね。ありがとう」

( ^ω^)「お安いごようだお。それじゃ、僕はもう行くお」

おじさんに手を振りながら、僕は線路の上を歩き出した。

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:47:08.65 ID:GCTbWEj70
ゆるい上り坂になっている細い線路の上を慎重に進んでいくと、
前から芋虫ピートが物凄い速さで走ってきた。

( ^ω^)「うわ、危ないお!」

あわててブーストを噴射し、ギリギリで橋を渡りきって芋虫を避けた。
芋虫は速度を落とさずに通り過ぎていく。

(;^ω^)「これじゃ警察も手を出せないおね」

僕は落ちていた石を芋虫に向かって投げたが、棘に跳ね返されてしまった。
芋虫はそのまま発掘現場に向かって走っていった。
僕は頭を振りながら、線路の端を歩いてピジョット牧場に向かった。

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:48:23.34 ID:GCTbWEj70
ピジョット牧場

ゴーレム渓谷とはうって変わって、雄大な牧草地が視界いっぱいに広がっている。
その牧草地でのんびりと草を食む羊たちの姿がみてとれる。
その向こうには、美しい湖が見えた。

( ^ω^)「そう言えば、荒巻博士ってどんな人なんだお」

ゴーレム渓谷の閉鎖されたような空間と違って、
ピジョット牧場にはとても広大な自然が広がっている。
ブーンは大自然を満喫しながら、のんびりとビークルを進めた。

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:50:46.71 ID:GCTbWEj70
しばらく進むと、左手に農家が見えてきた。

( ^ω^)「ちょっと疲れちゃったお。あそこで休ませてもらうお」

家の前でピートを降りた。すると家の方から乳製品の匂いがする。
そう言えばいつから食べ物を口にしていないだろう。
僕は匂いに誘われるようにして、工場と書かれているドアを開いた。

「ん?どちらさまだい?」

( ^ω^)「おいしそうな匂いがするお」

「ああ、お客さんだね。しかも新規のお客さんと見た。どうだい、ひとつ味見してみるか?」

気さくなおじさんに薦められて、ブーンはヒツジのチーズを口に入れた。

(*^ω^)「ハフッ、ハムハムハム、ハフッ……」

( ゚ω゚)「Umeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee」

「あははは。そうだろう、うまいだろう?」

(*^ω^)「さっぱりしているのに、コクがあっておいしいお!」

僕の返答を聞いて、おじさんは満足そうな笑顔を浮かべた。

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:53:57.66 ID:GCTbWEj70
「そうだろそうだろ!いやあ嬉しいねえ。
うちのチーズは数が作れないから誰にもって訳にはいかないんだが、
この味を分かってくれる君になら安く分けてあげるよ」

ブーンは早速ブルーデコースチーズを12個購入した。
青カビで熟成されたチーズは、とてもコクがありクリーミーだ。

( ^ω^)「お、これはなんだお?」

「それは羊のミルクだよ。それも美味しいんだが、買うかい?」

(*^ω^)「ミルクは大好きだお」

ビン入り羊のミルクも3つ購入した。
おじさんは、満足げな顔をしている僕に、棚から取り出したプレートを差し出した。

「こいつを持っていきな。お得意さまだけに渡しているプレートだよ」

羊が描かれたプレート。
ニートエレファント団の悪趣味なプレートとは違い、
女性にも受けそうな可愛らしい羊が描かれている。

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:55:39.05 ID:GCTbWEj70
僕はしばらくおじさんと談笑し、民家を出発した。
穏やかな景色が目の前に流れる。

( ^ω^)「気持ちがいいお」

やがて右手に大きな湖、左手には急な坂が見えてきた。
僕は湖の前でピートを止めた。
湖は綺麗な水を湛えながら、穏やかに水面を揺らしていた。

( ^ω^)「ずいぶん大きな湖だお」

名前も知らない魚が、時々水面を跳ねている。
魚は日の光を浴びて七色に光り輝いていた。

(*^ω^)「ちょっと眠くなってきたお」

僕が両手を上げて伸びをした瞬間。

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:57:13.01 ID:GCTbWEj70
(´<_` )「あぶないー」

坂のほうから声が聞こえてきた。
顔を上げると、両手を羽のように広げ、羽ばたきながらピートが飛んできた。

(;^ω^)「ちょ」

そのまま僕のピートに激突した。
デブが坂を駆け下りてくる。

(´<_` )「あーよかった。フラップフライヤーは無事みたいだな」

そして僕に向かって「おーう、君!ケガはないかい?」と言った。

(;^ω^)「だいじょうぶだお」

飛んできたピートに乗っていた男が、頭をさすりながら降りてきた。

( ´_ゝ`)「よう少年、すまんかったな。
俺たちはここで空飛ぶポットピートの実験をしているんだ。
俺はパイロットの兄者、そっちはメカニック担当の弟者ってんだ」

( ^ω^)「はじめまして、ブーンですお」

( ´_ゝ`)「おう、よろしくな。ああ、ピートに乗って鳥のように大空を自由に飛び回れたらなあ」

兄者が両手を広げてバタバタさせながら呟いた。

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:57:30.39 ID:GCTbWEj70
( ´_ゝ`)「なんてすばらしいだろう!君もそう思わないか?」

(;^ω^)「いや、別に興味ないですお」

兄者が両手を下ろしながらがっくりと肩を落とした。

( ´_ゝ`)「おいおいロマンがねえなあ、少年。ロマンってのはな、命の次に大切なもんだぜ」

(´<_` )「……とは言っても、実は飛行実験はなかなか思うようにいかなくてね。
ピートが鳥のように空を飛ぶなんて、やっぱり夢でしかないのかなあ」

そして顔を坂の上に向けてボソッと呟く。

(´<_` )「はぁ、ポットピートの生みの親である荒巻博士が協力してくれればなあ。
そうだ、君はもしかして博士に会いにきたのかい?」


( ^ω^)「そうだお。荒巻博士はこの上に住んでるのかお」

荒巻博士。ポットピートの生みの親。
どうやら凄い人物のようだ。ツンは医学にも通じていると言っていた。

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 00:59:48.13 ID:GCTbWEj70
(´<_` )「うん、博士ならそこの丘の上に見えるヘンテコな建物に住んでいるよ。
でも、この時間帯はいつも……」

弟者の言葉を遮って、兄者が言った。

( ´_ゝ`)「少年よ、見ていてくれ。おれ達はいつか必ずこの大空を飛んでみせる。
この翼をつけたポットピート、フラップフライヤーでな!」

そういってそのヘンテコな兄弟は坂を上がっていった。
坂の中腹に兄弟の小さなガレージがある。
そこからさらに急になった狭い坂を上れば、荒巻博士の研究所だ。
普通の家の右側に、巨大な円形の建物がついている。
その円形の建物のほうが研究所で、左側は寝泊りする場所だろうか。
そんなことを考えながら、僕は家の前でビークルを降りた。

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 01:01:36.23 ID:GCTbWEj70
ドアをノックしたが、中からはなんの反応もない。

( ^ω^)「お邪魔しますお」

と言いながらドアを開けた。
中に入ると、目の前に螺旋階段が見えた。
右側にあるドアは、外から見えた円形の建物につながっているらしい。
そこかしこにビークルのパーツが転がっている。
左側が少し高くなっており、小さな階段を上ると小柄な老人の後姿が見えた。

( ^ω^)「あの……」

反応がない。僕がそのまま突っ立っていると、
「ええい、気が散るのうっ!」と老人の濁声が響いた。

/ ,' 3「今は手が放せんのじゃ、見てわからんかね!
あぁーあ、バルブがダメになってしもうた……なんなんじゃお前さんは、勝手に入ってきおって!ふんっ、まあよい」

僕は怒り狂う荒巻博士に頭を下げながら手紙を渡した。

/ ,' 3「おおっ、ツンからか。久しぶりじゃなぁ。あの子は元気にやっとるか?」

手紙を見た途端、荒巻博士の顔が緩んだ。

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 01:01:52.31 ID:GCTbWEj70
( ^ω^)「あまり元気がないみたいですお」

/ ,' 3「そうか…まだワカンナイのことを……まあ無理もないわな」

そう言って首を振った後「そうじゃ、ショボンはどうしとる?」と続けた。

( ^ω^)「ショボン……たしかトロン楽団の……?」

/ ,' 3「ああ、いや、知らんのならいいんじゃ。すまんかったな」

博士が手紙を読みはじめた。

/ ,' 3「ふむ、おまえさん、砂浜で倒れていたのか。なるほど、では診察をしよう。
ん?なんじゃその不安げな顔は。こう見えてもわしは医術にも明るいのじゃぞ」

僕は黙って頷いた。

/ ,' 3「ふん。では今のおまえさんの状態について、わしの質問に「はい」か「いいえ」で答えなさい」

元気がない:いいえ
イライラしている:いいえ
ひどく眠い:はい
内心腹立たしい:いいえ
ビークルの操縦が手につかない:いいえ

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 01:02:54.76 ID:GCTbWEj70
次々に飛び出す質問に答えていく。
一通り質問した後、博士は取っていたメモを放り投げた。

/ ,' 3「うむ、なるほど。特に異常は見つからないな。
しっかり食事をとって、今はゆっくり休むことじゃな」

/ ,' 3「では次にお前さんの記憶について……何か思い出せることはないかね?」

( ^ω^)「一日中、草を食べていたような……」

/ ,' 3「むむ、わかったぞ!おまえさんの前世はヒツジじゃ!……前世がわかってもしかたがないわい。
河に流されてから、海で倒れているまでの記憶を聞いたんじゃが。ふむ、やはり異常はないようじゃな」

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 01:03:10.28 ID:GCTbWEj70
( ´_ゝ`)「うわあーーー!」

(´<_` )「あーまた!大丈夫かい、にいさん!」

/ ,' 3「…まったく、懲りんやつらじゃ」

外を見ると、さっきの兄弟がまた失敗したらしい。
坂を転げ落ちていくフラップフライヤー号が見えた。

/ ,' 3「ふむ、ピートが空を飛ぶなんて無理なんじゃ。わしはそんなように作っとらんからな。
お、そのビークルはおまえさんのか。ふむ、戦闘の形跡があるな。盗賊にでも襲われたか」

荒巻博士はため息をついた。

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 01:03:25.81 ID:GCTbWEj70
/ ,' 3「ピートで人々の暮らしが豊かになるなら、こんな素晴らしいことはない。
じゃがな、ピートはしょせん機械じゃ。人間次第で良くも悪くも使うことができる。
あまりそういうピートは、見たくないもんじゃなあ」

/ ,' 3「よし、診察はこれで終わりじゃ。具合が悪くなったらまた来なさい。
おおそうだ、ついでにこれを持っていってくれ。ツンの母の薬じゃ」

薬を受け取った。

/ ,' 3「ではツンによろしくな。たまには顔を見せろと伝えとくれ」

僕は礼を言って外に出ようとしたが、工場内を見るのは楽しそうだ。
螺旋階段を上って、工場内を上から眺める。
スプレーの缶が壁際に高く詰まれており、足の踏み場もないほど、複雑な機械が転がっている。

( ^ω^)「お、あれはなんだお?」

螺旋階段を下りて、工場内に入る。棚の中ほどにトランペットが置いてあった。

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 01:03:41.47 ID:GCTbWEj70
( ^ω^)「これはなんだお?」

/ ,' 3「やや、そのトランペット……」

(;^ω^)「あうあう、すみません、すぐに元の場所に戻しますお」

/ ,' 3「……トランペットに興味があるんじゃな?
自分で言うのもなんじゃが、わしは楽器作りの腕も超一流なんじゃ。
しかし演奏の才能のほうはからっきしでな……まあ天は二物を与えず、というやつじゃよ」

そして荒巻博士はトランペットに視線を落とした。

/ ,' 3「そいつはおまえさんが持っていきなさい。しっかり練習するんじゃぞ」

僕は再び礼を言って博士の家を出た。

( ^ω^)「ピートを作った人のトランペットかお。なんか凄そうだお」

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 01:03:57.10 ID:GCTbWEj70
早速口をつけて音を出してみる。

(#^ω^)「なんなんだお!全然音が出ないお!」

はっはっは。笑い声を聞いて、博士の家を振り返る。
窓のところに博士が見えた。

/ ,' 3「トランペットは難しいぞ。簡単に吹けるようになるなんて考えるなよ」

( ^ω^)「絶対吹いてみせるお!」

博士は満足げに微笑んだ。
僕はピートに乗り込むと、手を振って博士の家を後にした。

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 01:04:54.80 ID:GCTbWEj70
6終わり。乙!

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 01:05:23.64 ID:AgZ2O+i00
ここからハーモニカルートとトランペットルートに分岐するのか

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 01:09:07.69 ID:GCTbWEj70
>>37
しないよー。

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 01:10:21.35 ID:AgZ2O+i00
>>38
じゃあ両方一緒に吹くのか!そうなんだな!!!

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 01:15:20.35 ID:GCTbWEj70
>>39
すまん、実はよく考えてなかった。
ゲームじゃこれといって、トランペットのイベントはなかったなあ。
なんか考えてみる。

41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 01:17:32.68 ID:AgZ2O+i00
>>40
さっきは変な事言ったが、普通にトランペットとハーモニカの両刀使いでいいと思うよ
まあそれだと片方がおろそかになるかもだが

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 01:23:12.43 ID:GCTbWEj70
>>41
いやいや、二人の予感だから、何でも言ってください。
でも両刀使いはなしのほうが良さげ。ツンとの約束とかあるので。

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 01:24:55.88 ID:AgZ2O+i00
>>42
把握した。
しかし俺は恐ろしいことに気付いた。
今このスレには二人しか居ないということは、
俺と作者しか保守する者が居ないということだ。
というわけで保守

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 01:28:56.73 ID:GCTbWEj70
>>43
いやいや、無理に保守するのは邪魔になるので、
雑談のネタが切れたら落としてください。次の話もまだまだ書き上がりません。

45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/07/03(月) 01:53:16.31 ID:GCTbWEj70
あー、邪魔って言うのは、VIPには意味ね。俺からすれば邪魔じゃないよ。
変な意味に取れたらごめんね。といいつつ保守。

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